ベンチャーキャピタル(VC)であるANRIは、「未来を創ろう、圧倒的な未来を(Make the Future AWESOME)」をミッションとして掲げ、技術革新や社会変革を目指す企業に投資を行ってきました。その未来の実現のために、基礎科学研究のための給付型奨学金「The ANRI Fellowship」を7年前から開始し、理工系の基礎科学研究者の支援を微力ながらさせていただいております。そのような支援をしていくなかで、昨今のテクノロジーが急速に進展する現代においてこそ、技術への投資と同時に「人間や社会に対する理解」を深化させることが不可欠であると業務を通じて実感するようになりました。
その観点から、人文系の研究は、社会をより良い方向へ導き未来を拓く重要な鍵を握っている可能性があると考え、従来の基礎科学研究のための奨学金だけでなく人文系研究のための奨学金も始めていく必要があると思い、この奨学金の募集を発表するに至りました。ANRI人文奨学金では、人文系研究がもたらす具体的な社会的インパクトを重視し、新たな視点から未来を考える/切り拓く問いを生む気概がある若手研究者を支援していきたいと考えております。
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長らく理工系の学問が重要だといわれてきた。
世界を変えるのはエンジニアであり、テクノロジーであるというテーゼが長く時代を支配している。自分もその信奉者ではある。カリフォルニアイデオロギー的な世界観の中で、シンギュラリティという大きな物語が生まれた。そして今目の前で日々技術革新があるAIの変化を感じているとよりその物語の進捗も感じる。
一方で、今の世の中を見渡してみるとそうしたイデオロギーと、テクノロジーの普及が引き起こした悪影響もに溢れている。ファスト化していく社会とネオリベ的世界観が加速していく中で、世界が良くなるどころか、むしろ分断や対立が先鋭化していることを感じている。それはUSにおいては思想の対立を生んだ。どんなにテクノロジーが発展しようとも、人というものがその行き先を決める。テクノロジーとイデオロギーは表裏一体であることを痛感する日々である。
そうした時代の中で、立ち止まって考える力・ある種の遠回りする力の重要性を感じていきた。その文脈において、人文知というものが今後はより求められてくるのではないかと改めて思い始めている。「そもそも人間はどういうものなのか?」「社会/連帯ってなんのためにあるものだったのか?」そういった自らの足場を深く問い直す人文系の学問の知見・疑問を持つことを絶やさないことが、より良い未来の構築のために必要なのではないか。
今回のこの奨学金を通して、そういった”人間のこと・社会のこと”を考える若い研究者の応援を微力ながら行いたい。そのような立ち止まり問いを考える人々が今後の時代において、社会においてはより必要になってくる予感があるから。(ANRI シニアプリンシパル 中路隼輔)
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